代表理事挨拶
現在、臨床試験に対する倫理指針の改正や臨床研究法の施行等により、臨床試験を取り巻く環境は厳しさを増しています。その中で、社会的に意義ある臨床試験の実施には強力な研究支援が必要です。一般社団法人がん研究組織支援センター(Support Agency for Cancer Research Association略称SACRA)は、がん関連の学術団体や研究グループの活動を支援することにより、わが国のがん領域における医療の質の向上と研究推進に貢献することを目的に2020年3月に設立されました。
この目的を達成するために、SACRAは、現在、下記の4団体の5つの事務局業務を担当し、特定非営利活動法人臨床研究支援機構(NPO-OSCR)と連携して、より良いがん医療を創るために活動・研究する人々を支援します。
- 特定非営利活動法人日本小児がん研究グループ(JCCG, Japan Children’s Cancer Group)
- JCCG血液腫瘍分科会(JPLSG:旧日本小児白血病リンパ腫研究グループ)
- 特定非営利活動法人成人白血病治療共同研究機構(JALSG, Japan Adult Leukemia Study Group)
- 造血器腫瘍研究会(HMCSG, Hematological Malignancy Clinical Study Group)
- 一般社団法人AYAがんの医療と支援のあり方研究会(AYA研, AYA Oncology Alliance)
SACRAの活動に、皆様の温かいご支援とご協力をよろしくお願いいたします。
理事長 大西 一功
役員紹介
肩書き | 氏名 | 所属 |
---|---|---|
理事長 | 大西 一功 | 修文大学医療科学部臨床検査学科 教授 |
常務理事 | 堀部 敬三 | 国立病院機構名古屋医療センター 小児科顧問・上席研究員 |
理事 | 山本 一仁 | 愛知県がんセンター 病院長 |
理事 | 真部 淳 | 北海道大学大学院医学研究院小児科学教室 教授 |
理事 | 堀 浩樹 | 鈴鹿医療科学大学医用工学部臨床工学科 教授 |
監事 | 三品 雅義 | 三品雅義税理士事務所 所長 |
メッセージ
がん領域における医療の質の向上と研究推進のために
SACRAの目的は、がん関連の学術団体や研究グループの活動を支援することにより、わが国のがん領域における医療の質の向上と研究推進に貢献することです。この目的を達成するために、SACRAは、これまでNPO-OSCRが支援してきた各団体の事務局を担当し、 各研究グループが実施する臨床研究を支援するNPO-OSCRと連携して、主に小児・AYA世代のがんや成人血液がんのより良い医療を創るために活動・研究する人たちを支援します。
わが国において、がんは死因の第1位であり、生涯のうちに約2人に1人が罹患すると言われています。がんの克服は、私たち国民にとって生命と健康を維持する上で重大な課題です。
平成19(2007)年4月に、がん対策の一層の充実を図るため、がん対策基本法が施行され、それを機に、5年ごとにがん対策基本計画が策定され、3つの全体目標、1)がんによる死亡者の減少(75歳未満の年齢調整死亡率の20%減少)、2)全てのがん患者さんとその家族の苦痛の軽減と療養生活の質の維持向上、3)がんになっても安心して暮らせる社会の構築、を掲げて、総合的かつ計画的ながん対策の推進が図られてきました。
第1期(平成19~23年)の基本計画では、がん医療の均てん化をめざして「がん診療連携拠点病院」の整備が進められました。
第2期(平成24~28年)の基本計画では、小児がん拠点病院が整備されるなど社会的課題にも取り組みが進み、平成27(2015)年12月には「がん対策加速化プラン」において取り組みが遅れている分野の対策強化が謳われました。しかしながら、これらの施策で死亡率の低下など一定の成果を認めたものの、第1期当初に掲げられた10年でがんの年齢調整死亡率(75歳未満)の20%減少の目標を達成することができませんでした。
第3期(平成29年~令和4年)の基本計画では、がん死亡率の着実な低下を目指して予防の充実と早期発見・早期治療につながる検診率向上に向けた施策とともに、がん種、世代、就労等個々の患者の状況に応じたがん医療や支援の充実に向けた対策が講じられ、目標として「がん患者を含めた国民が、がんを知り、がんの克服を目指す」が掲げられています。
そして、今後は、国と地方公共団体、がん患者を含めた国民、医療従事者、医療保険者、事業主、学会、患者団体等の関係団体、マスメディア等が一体となって、各種取組を進めていく必要性が指摘されています。
がんの克服には多様で幅広い研究を総合的に行う必要があることは言うまでもありません。これまでわが国のがん対策は、がん研究をその基本に据えて10年単位で戦略的に進められています。そして、その成果による診断・治療法などの進歩とその普及によって、現在ではがん全体で約6割の方が完治できるようになりました。「治るがん」が増えた一方で、多くのがんは、依然としてその本態が解明されておらず、特に難治性のがんや小児がんを含めた希少がんについては、有効な診断・治療法の開発を急ぐ必要性が指摘されています。そして何よりも、がんの診断・治療後の多くの方とその家族が、がんとともに充実した生活を過ごすことのできる社会を作り上げることが強く求められています。
国において、「がん対策推進基本計画」の3つの全体目標を達成するために、平成26(2014)年度から新たな「がん研究10か年戦略」が策定されました。そこでは、8つの分野の研究戦略(1. がんの本態解明に関する研究、2. アンメットメディカルニーズに応える新規薬剤開発に関する研究、3. 患者に優しい新規医療技術開発に関する研究、4. 新たな標準治療を創るための研究、5. ライフステージやがんの特性に着目した重点研究領域、6. がんの予防法や早期発見手法に関する研究、7. 充実したサバイバーシップを実現する社会の構築をめざした研究、8. がん対策の効果的な推進と評価に関する研究)が掲げられています。
「新たな標準治療を創るための研究」では、手術療法、放射線療法、抗がん剤治療などを組み合わせて最大の治療効果を発揮させる「集学的治療」を中心に、現時点で最も推奨される「標準治療」を、きちんとした組織のもとで多くの病院が共同で行う臨床試験を通して開発すること、そして、治療法のみならず、QOL 向上をめざした支持療法の臨床開発が期待されています。
また、「ライフステージやがんの特性に着目した重点研究領域」では、特に、小児・AYA(思春期・若年成人)世代のがん、高齢者のがん、難治性がん、希少がんが注目されています。
このような中、全国の小児白血病治療研究グループが集まって設立された日本小児白血病リンパ腫研究グループ(JPLSG)のデータセンターとして、2008年に特定非営利活動法人臨床研究支援機構(NPO-OSCR)が設立され、小児血液がんの標準治療開発を目指して質の高い臨床試験体制が整えられました。
OSCRデータセンターは、JPLSGのみならず、日本小児血液・がん学会および日本血液学会の疾患登録のデータセンター、さらに、成人白血病治療共同研究機構(JALSG)のデータセンターの役割を担っており、わが国のがん臨床研究を支える主要なデータセンターの一角を担っています。
また、NPO-OSCRは、名古屋医療センター臨床研究センター内で活動するデータセンターのほか、法人事務所のある名古屋栄において研究グループ事務局業務を行っており、JPLSG事務局をはじめとして、2014年にJPLSGと小児固形腫瘍の研究グループを統合して設立された日本小児がん研究グループ(JCCG)、JALSG、そして、成人リンパ腫の臨床研究グループである造血器腫瘍研究会(HMCSG)の各研究グループ事務局を担っていました。さらに、平成30(2018)年には、AYA世代がんに係る学術交流や啓発活動を行う学術団体である一般社団法人AYAがんの医療と支援のあり方研究会(AYA研)の学会事務局も担うことになりました。
このような状況を踏まえて、全国規模で活動する小児がんや血液がん関連の研究グループや学術団体の支援を一層充実させるために、2020年3月に一般社団法人がん研究組織支援センター(SACRA , Support Agency for Cancer Research Association)を設立しました。
SACRAの目的は、がん関連の学術団体や研究グループの活動を支援することにより、わが国のがん領域における医療の質の向上と研究推進に貢献することです。この目的を達成するために、SACRAは、これまでNPO-OSCRが支援してきた下記の4団体の5つの事務局を担当し、 各研究グループが実施する臨床研究を支援するNPO-OSCRと連携して、主に小児・AYA世代のがんや成人血液がんのより良い医療を創るために活動・研究する人たちを支援します。
- 特定非営利活動法人日本小児がん研究グループ(JCCG, Japan Children’s Cancer Group)
- JCCG血液腫瘍分科会(JPLSG:旧日本小児白血病リンパ腫研究グループ)
- 特定非営利活動法人成人白血病治療共同研究機構(JALSG, Japan Adult Leukemia Study Group)
- 造血器腫瘍研究会(HMCSG, Hematological Malignancy Clinical Study Group)
- 一般社団法人AYAがんの医療と支援のあり方研究会(AYA研, AYA Oncology Alliance)
SACRAの活動に、皆様の温かいご支援とご協力をよろしくお願いいたします。